PEACEBERRY JAM No.23(国連・憲法問題研究会通信第19号)


《11月28日講演会について》

極右・歴史修正派による侵略戦争正当化に反対を

 私たち国連・憲法問題研究会の活動に、常日頃、協力いただきありがとうございます。11月28日、私たち研究会は、俵義文さん(子どもと教科書全国ネット21事務局長)を講師にお招きし、現在検定申請されている「新しい歴史教科書をつくる会」の2002年度中学社会科教科書(歴史・公民)の問題を取り上げて、講演会「『自由主義史観』教科書を斬る」を開催しました。
 この講演会に対し、インターネット上の右翼の掲示板(「教育を糾す掲示板」など)に「扶桑社版未検定教科書(『新しい歴史教科書をつくる会』編纂)が不当な批判にさらされている」(『歴史教科書の不正検定を糾す市民の会』西村修平・加藤哲史)として、「つくる会」教科書の「正当性」を唱えて講演会に押しかける呼びかけが載りました。
 この間、右翼・「自由主義史観」派は、神奈川・三多摩・福島など各地で、元「従軍慰安婦」の映画である『息づかい』上映会や教科書シンポなどに対して、当日多数で押しかけて上映会の中止を要求したり、発言時間を独占したり、主催者の職場・自宅・学校に抗議FAXを送ったり押しかけるなど、市民運動に対する攻撃を行っています。彼らが行っている「反日教師懲戒要求」「上映会中止要求」は、日本の加害の歴史を直視し伝えようとする者の思想・言論・表現の自由は否定するということで、許されることではありません。
 このため、私たちは講演会の運営を妨げる行為があった場合は退場してもらうということで、28日予定通り講演会を行いました。
 講演では、「戦争ができる国」をめざす上でハードの役割の戦争法・盗聴法・国民総背番号制に対して、ソフトの役割を果たす教科書改悪・「歴史修正」の危険性を指摘。戦前の教科書の内容から、戦後教科書攻撃の歴史、俵さんが自ら関わってきた家永訴訟による文部省検定への反撃、そして、今回の教科書攻撃の実態と「つくる会」教科書の問題点について講演されました。(詳しい内容は来年報告集を出す予定です。)
 講演後、時間的制約もあったため、質問票で質問を受け付け、時間が許す限り、明らかに「つくる会教科書」支持の意見を含めて紹介、俵さんが回答しました。途中、10人ほどの集団で参加していた一部参加者による野次など講演会の運営を妨げる行為が一部ありましたが、司会の指示に従ってもらい、講演会は予定通り終了しました。
 その後、彼らは研究会のホームページ(URL http://www3.ocn.ne.jp/ kkmk/)の掲示板に、好き勝手な書き込みをしたりしており、その中では次回講演会に多人数で押しかけることを「予告」したりしています。
 11月28日は、挙手で自由に発言を受け付けるというかたちで運営することはできませんでしたが、以上のような事情のためです。ご理解下さい。(また、11月発行のピースベリージャムの発送が遅れました。おわびします。)
 私たちは、今後も日本の戦争加害の歴史を美化・正当化する動きを批判していきたいと思います。ご協力をお願いします。

  2000年12月                 国連・憲法問題研究会事務局


「天皇中心の神の国」をめざす「あぶない教科書」がやってくる
講演 俵義文さん(教科書ネット21)

 11月28日、講演会「『自由主義史観』教科書を斬る」を俵義文さん(子どもと教科書全国ネット21事務局長)を講師に文京区民センターで行いました。同ネットは家永教科書訴訟を支える会の終結を受け、改組して発足した団体です。
 「新しい歴史教科書をつくる会」によって作られた2002年度中学社会科教科書(歴史・公民)が検定申請されています。この教科書は日本の侵略を歪曲・美化し、人権・平和主義を真っ向から否定する内容。他社の歴史教科書でも、文部省・自民党の圧力によって、侵略加害に関する記述は大きく後退しています。
 この動きと一体のものとしてこの間、右翼・「自由主義史観」派は、元「従軍慰安婦」の映画である『息づかい』上映会や教科書シンポ、女性国際戦犯法廷などに対して、当日押しかけたり、主催者の職場・自宅への「抗議」、市民運動や教員(企画関係者に教員がいる場合は教育委・学校)への攻撃を行っていまする。
 この日の講演会に対し、一部参加者による野次など講演会の運営を妨げる行為が一部でありました。(前頁参照)
 右翼・保守政治家・右派メディアが行っている歴史改ざん・教科書改悪を許さない運動をつくりだそう!

俵義文さん講演(要旨)

 日本は「戦争をする国」「戦争ができる国」へ突き進んでいる。99年に成立した戦争法・盗聴法などは戦争国家のハードの部分。それに対し、戦争を支持するように国民意識を変える、ソフトの役割を果たすのが「日の丸・君が代」強制や歴史認識・教科書攻撃。日本の多国籍企業の対外資産は世界一位。この権益を守るために、いつでも海外派兵が可能な「普通の国」をめざしている。
 教科書問題は今回で戦後3回目。今回の教科書攻撃は九六年夏から。森首相は「日本は天皇を中心とした神の国」発言(五月一五日)をした。彼には国民学校の「修身」国定教科書で習ったことが六十年後もインプットされている。戦前の教育が果たした役割は大きい。ある人は「国定教科書に殺されし民は幾千万 アジアの民も日本の民も」と詠っている。
 検定不合格・歴史歪曲に対して、六五年家永三郎氏が教科書裁判を始めた。七〇年杉本判決では家永さんが全面勝訴。文部省は後退を余儀なくされ、加害記述がなされようになった。
 80年再び教科書攻撃が行われ、82年外交問題になり、加害の歴史が全ての教科書に記述されるようになるまで、実に40年近くかかった。
 96年6月中学教科書検定内容が公表されると、3回目の教科書攻撃が開始された。教科書会社に街宣車がおしかけ『ぶっ殺してやる』とわめき、脅迫状を積むと何十センチにもなった。96年9月日本を守る国民会議(現「日本会議」)が教科書記述削除を求める地方議会決議運動を始めた。こうして、「新しい歴史教科書をつくる会」結成へ。
 九三年細川首相発言に対して自民党が「歴史検討委員会」をつくったのが前史。委員会百五議員には森をはじめ、村上正邦、橋本竜太郎、安部晋三など現政権の実力者がいた。同委員会に呼ばれた講師たちが「つくる会」の中心。委員会が九五年八月一五日に出したのが『大東亜戦争の総括』。その主張は「大東亜戦争は自尊自衛のアジア解放戦争。南京大虐殺や従軍慰安婦など日本軍の加害はでっち上げ。そのような記述を教科書からなくす。アジア解放戦争だったというのを国民の常識にする。そのための「国民運動」の先頭に自民党が立つと誤解されるので学者にやらせ、自民党は資金などでバックアップする」。
 それで、高橋史朗や藤岡信勝らが前に出ることになった。ちなみに、藤岡信勝は「自由主義史観」という考えは捨てており、「近現代史の授業改革」は2年前から出ておらず、同会はあまり活動してない。私は歴史修正主義・歴史改竄主義と呼んでいる。

違法手段で「つくる会」教科書採択狙う

 「新しい歴史教科書をつくる会」は、全都道府県48支部、会員1万455名、年間収入4億2000万で活動。97年1月結成以来、歴史修正派の書籍を単行本で百冊以上。99年だけで講演会・シンポを全国で250回以上(推定700〜800回)。
 つくる会は、占有率10%十五万冊以上の採択をめざしている。「つくる会」は本部から理事・スタッフを支部に派遣。議員勉強会、要人(首長・教育長など)面談を行っている。自分達の教科書が採択されやすくなるように、教員を完全に排除する採択制度への改悪を求める陳情を行い、これまでに十六県議会で採択されている。
 教科書は独禁法で特殊指定されている。「つくる会」教科書はフジ産経グループの出版社=扶桑社(教科書協会に加盟)発行、産経新聞社発売。つくる会は「自分たちは発行元ではない」と、違法な宣伝活動を行っている。昨年、歴史教科書のパイロット版『国民の歴史』を発行。十万冊(一億円)以上を全国各地で教育委員・学校・教員・団地住民などに無料配布。今年五月には『国民の油断』を発行し、全国の教育委員一万五千人に無料で送りつけた。
 産経新聞は社会面連載で「教科書の通信簿」という他社教科書攻撃を行い、千葉版でも教科書攻撃している。これは「つくる会」教科書の事前宣伝であり、発行者=産経が他社教科書攻撃をするのは明らかに違法。他にも、「教員有志の会」の名による教科書攻撃小冊子「中学歴史教科書を点検する」が出されている。これは連絡先が書かれていない怪文書。この小冊子が地方議会で取り上げられて、教科書攻撃に使われている。右派議員と連携して地方議員の教科書議連結成を進めている。地方議会・教育委員会への執拗な請願・陳情活動を行っている。
 これに連動して改憲団体日本会議、自民党、財界・右派学者が草の根運動を展開。産経と連携し、教育・教師・学校・教科書を攻撃している。右派学者・財界の協力で、教科書改善連絡協議会(会長三浦朱門)が作られ、ニュースレターが一万五千人の教育委員全員に送られている。

あぶない教科書を学校に持ちこませるな

 「つくる会」歴史教科書は、第1に歴史は「科学ではない」と歴史研究の成果を完全に無視。戦前教育への反省を完全に否定。
 第2に、大日本帝国憲法を高く評価、日本国憲法を否定。憲法調査会を「改憲に向かうものとして高く評価」、教育勅語全文を載せ高く評価。ここまであからさまに憲法を否定した教科書は初めて。
 第3に、日本の侵略戦争・植民地支配を肯定・美化。戦時中に日本が傀儡政権を集めて開いた「大東亜会議」の「意義」を三頁も記述。日本の加害する記述は一切ない。小さな字で「アジア諸地域に大きな被害が出た」と他人事のように書いているだけ。南京大虐殺は東京裁判の箇所で、否定の立場から書かれているだけ。強制連行・強制労働は一切記述なし。韓国併合については「必要で合法的」。柳条湖事件は「中国が悪かった」。米国との戦争も米国に責任があったと記述、特攻隊を賛美。「戦争に善悪はつけがたい」と戦争そのものを正当化した。
 第4に、「天皇中心」の歴史観を植え付けようとしている。記述は神話から始まり、昭和天皇で終わる。「2月11一日は神武天皇が即位した日」と、架空の存在である初代天皇が実在したことになっている。「神の国日本」教科書は戦後初めて。天皇中心の記述のため、武士の時代だった中世の記述は薄い。
 第5に、「日本人の誇りを取り戻す」と日本国家・文明の優越性を過度に強調。石器捏造が発覚した上高森遺跡をただ一社記述。『日本の原人は北京原人・ジャワ原人より古い。縄文文明は四大河文明より古い。仁徳天皇陵はピラミッド、始皇帝の墓より大きい』と偏狭な民族主義を煽っている。
 西部邁が責任者の公民教科書は、人権・平和主義・民主主義を否定、憲法改悪を狙う内容。「基本的人権は国益と国家秩序のために制限できる」と説き、「核廃絶は絶対の正義か」と核廃絶を否定、日本の核武装化を暗に肯定している。
 これらの動きで「自主規制」を迫る強力な圧力が教科書会社にかけられ、加害記述が大きく減った。慰安婦記述が7社から3社に減り、南京大虐殺の記述も後退し犠牲者数が記述されなくなった。三光作戦も5社から1社、七三一部隊の記述はなくなった。沖縄戦も記述が減り、日本軍の住民虐殺を2社が削除。侵略を全て他の用語に書き換えた教科書も出た。20年前への逆戻り。これは単に教科書会社の「自主規制」ではない。98年当時の町村文相(年末、文部科学相に就任)はじめ政府・文部省が不当な圧力をかけた結果だ。
 「つくる会」は8月19〜20日採択活動の意志統一のために全国活動者会議を行った。10月藤岡信勝らが紹介議員なしで野中広務幹事長(当時)と会い、教科書検定に介入するなと要請した。それほど自民党と強いパイプがある。
 現在、中川昭一など右派議員が市町村教育委へ圧力をかけるなど、「つくる会」教科書採択をめざして全国で動いている。歴史教育で必要なのは加害も被害も加担も抵抗もトータルで教えること。このような教科書を教育現場にもちこませないための運動の輪を広げていきたい。


講演会「奉仕活動義務化」を問う
楠原彰さんが講演

 1月30日、文京区民センターで講演会「「奉仕活動義務化」を問う」を、楠原彰さん(国学院大学教授、教育学)を講師にむかえて行いました。
 90年代前半まで30年以上の反アパルトヘイト市民運動で知られる楠原さんですが、専攻は教育研究。昨年11月27日朝日新聞では西尾幹二と奉仕活動義務化を巡って「対談」しています。
 講演の最初に、ボランティアの重要性、そして、20年ほど前からの社会・子どもの変化について、自分の家庭、教え子たち、地域などでの「非行」、犯罪、学ぶ意欲のない学生の存在など具体的な例を挙げながら、問題の背景について様々エピソードを話し、続いて奉仕活動義務化の危険性について述べた。

見えない子どもたちの苦しみ

 アフリカの子どもへの暴力=飢餓・貧困・アパルトヘイトは見える。日本の子どもたちに対する暴力は見えない。アフリカの子どもたちは見えるから立ち向かっていく。ストリートチルドレンの苦しみは見える。
 日本の子どもたちの苦しみは見えない。偏差値の低い学校に行ったら『お前はバカだ』と言われるという屈辱は見えない。誰に責任があるか見えない。だから自虐になっていく。この問題をどうしたらいいか。〈社会参加〉しかないと思う。
 問題提起として、子ども・若者たちの人間的社会的市民的成熟が奪われている。他者や世界、自然と向き合うことによって生まれる人間的社会的市民的成熟のみが学びへの欲求と希望を醸し出してくれるのではないだろうか。
 小渕前首相が設置した私的諮問機関に過ぎない教育改革国民会議に正統性があるのか。教育改革国民会議委員は、一応法律に基づいて委員が任命される中教審と違って何の信託も受けていない。曽野綾子(国民会議委員は、同会議第一分科会中間報告(2000年7月)で「国民」という言葉すら使わず、「日本人へ」という文書の中で、「子どもはひ弱で欲望を抑え切れず」と書いている。三浦朱門(曽野綾子の夫)元文化庁長官は「(原宿などに行くと)ノライヌのように貧相な若者に、しっかりとかじりついているブタ娘がいる」(朝日、87年5月21日)と書いている。ここに日本の知識人・文化人の本当の愚かさがある。
問題は、教育改革国民会議だけでなく、いまの大人全体にある子ども・若者に対する憎しみと絶望感。同じ世代が同じ世代に憎しみを持ち始めた。「あいつらのおかげで俺たちまでバカにされるじゃないか」。
 若者に十八才選挙権と社会的役割の保障が必要。世界界149カ国がすでに十八才選挙権。十八才選挙権のアメリカ、フランス、イタリア、スペインも、それまでは二十才選挙権だった。一九六八年の若者の反乱で十八才選挙権になった。権利を保障し、若者に生きる場での社会的役割と社会的責任をもたせるべきだ。

ナショナリズムへの動員が目的

 教育改革国民会議では「祖国愛」「日本人として」という言葉が繰り返し出てくる。「奉仕活動義務化」の目的は、曽野綾子など推進派が明言しているように「義務として奉仕活動を行うべきだと、私は考えているんです」「教育は必ず強制の要素を含むものです。だから、奉仕活動を強制したらいけないという批判は成り立たない」(曽野綾子)といっているように、曽野綾子や西尾幹二など右派は、社会参加は「祖国愛」=ナショナリズムにつなごうとしており、ナショナリズムへの動員を目的としている。西尾幹二が「子どもたちを社会に投げこめ」と言っているのは、「祖国のために命を捧げる子どもたちをつくろう」ということ。私は市民社会の形成者として強い子どもをつくろう。そのために社会参加が必要だと考える。
沢地久枝は戦時中に中国で、日本国家から棄民された経験から、「国家なんか一夜にしてなくなり、だれも責任をとらない」(朝日、2000年12月26日)と批判している。西尾幹二との奉仕活動義務化に関する「対談」に対して、手紙をくれた読者の多くは60代。彼らは自分が強制的に強いられた学徒動員(学徒動員、学校報国隊)・勤労奉仕の記憶を書いてきた。
 子どもを国家の手に委ねないように注意しなければならない。では誰の手に委ねるのか。市民としての自分の手に委ねる。市民社会の力で子どもを引き取るしかない。
 私たち一人一人が、子ども・若者と共に一人一人が異質な存在として、その生が花開くような実質的で多様な社会参加が不可欠。

上からの強制ではダメ

来年から「総合学習」の小中高校で始まる。兵庫県では既にボランティア活動とは別のボランティア体験学習が盛んになっている。阪神大震災や少年事件を受け、特別活動の一環として九八年から一週間「トライやるウィーク」というのが、教育委員会命令で始まった。中学二年全員に一週間の社会参加を義務づけた。
 何をやっているかというとほとんどが「職場体験」。全国でも、地域ボスとつながって職業体験を与えるというところに流れている。よく見ていると、労組、生協、住民運動などには絶対に行かないようになっている。フェアでない。
 そして、中三はいまボランティアブーム。なぜなら、全国の公立高校の九八%が合格基準にボランティアを入れているから。
 職場体験自体は悪いことではない。それでも、やらないよりはやった方が良いという声が強い。病院に行って出産に立ち会ったりする。確かに学校での授業では得られない感動。確かに子どもは変わる。輝いてなかった子どもが元気になる。
 強制ボランティアは問題。兵庫では先生が大変で、一週間行くために一年半前から準備し、画一的にあいさつから訓練していく。相手に迷惑をかけないためにはどういう服装にしていったらいいかとか、マニュアルを作って、結団式、解団式と、完璧にイベント。アメリカのように市民的成熟は育たない。行きたいときに行って、やりたいときにやれるようにすべき。
どんな良い体験でも体験を強制されることは人間の心理の中で依存が起きる。どんな良い教師・生徒でも与えられたものしか受けられない。ボランティアは誰も与えない。

市民的成熟奪われた若者

 ボランティア活動や社会参加がいまの若者たちになぜ必要なのか。社会参加、つまり他者による人間的受容と他者の受容を奪われては、子ども・若者は元気も、社会性も、希望も、自分のもっている潜在能力も、学びたいという意欲も子どもからは出てこない。いろんな苦痛・苦難を少しでも共有しようとして他者に関わっていく〈社会的参加〉が子どもから奪われてきた。「学びたい、学びたい」という欲求は、「生きたい、生きたい」という欲求にかろうじて支えられている。「君が必要だよ」「君も生きてていいんだよ」との声・眼差しが日常的に彼ら・彼女らのまわりに必要だ。
 子どもたちの「個」は、他者や世界との出会い・葛藤・協同の中で育まれる。「奉仕活動義務化」をしてしまうと日本社会に生まれ始めた自主的な他者・社会への参加としてのボランティア活動をダメにしてしまう。
 僕はボランティアを権力に渡していけない。人間的相互関係性がなければ「ボランティア」とよんではいけない。一方的強制ではこのような関係性をつくるのは無理。
 ボランティア活動と市民運動、住民運動を分けないようにしようということ。分離するとボランティア活動から批判性がなくなる。市民運動から素人性が欠落する。ボランティアのキーワードは自由意志、他者の尊厳と自尊、批判的意識、寛容、対等な関係だと思う。
 大学1、2年生181人中奉仕活動義務化反対64%、賛成36%。成人式直後だったせいか、成人式に出席した学生が「あれじゃやっぱり奉仕活動義務化だ」と言っていた。
 学生の反対論は、「どうしたらいいのかわからず戸惑っているところへ〈大人〉が〈社会奉仕の義務化〉という手を差し伸べたら、私たちはそれに甘え、成長できなくなる。私は私の、自分の力だけで大人になりたい。」「国家が勝手に奉仕とやらを強いたとしても、一人の大人として、自立した個人として必要なこれらの力を身につける事は決してできないだろう」
 賛成論は、「何かしなければならないが何をしたらいいか分からない。一年間義務づけられたら、何か見えてくるのではないか」。「小林よしのりが言うように、本当に公の問題を考えたことがない。だからいい」。運動部の学生などは賛成が多い。
 「奉仕活動義務化」をめぐる議論で一番欠落していることは当事者の声を聞かないことだと批判した。
【詳しくは報告集を出す予定です。】


国連・憲法問題研究会2000年総会

 2000年12月21日、2000年総会を行いました。参加者は今までで一番少なくて、ちょっと寂しい人数でした。
総会では、以下に転載した2000年活動報告を受け、会計報告を承認。11月講演会の事態を受けて、右翼による一連の集会妨害や掲示板荒らしなどに関する状況やその他の活動について話し合いました。
続いて、2001年の活動について相談。既に決まっていた1月講演会の内容を決めた後、2月以降の内容についていくつか案が出て、具体的な内容は今後相談することとし、終了後忘年会を行いました。

[1] 最近の活動/11月28日講演会反省
[2] 00年の活動の反省
 ア) 直接行動
  石原暴言抗議行動 4月〜
  9・2〜3「防災演習」などに共同行動に賛同あるいは参加した。
 イ) 共同行動
  防災、NMD、臨検法反対・・・
 ウ) 例会   第1木曜=例会、第3水曜=事務局
(他の予定とかち合うことが多いので目安)
 エ) 学習会・講座
 2月4日 講演会 樋口陽一 人道的介入批判
 3月13日 講演会 竹見智恵子 日の丸・君が代
 4月6日 学習会 人権と普遍 杉原浩司
 5月11日 学習会 憲法調査会 繁山達郎
 6月2日 講演会 古関彰一 憲法調査会
 7月12日 講演会 佐久間智子 サミット・グローバリゼーション
 8月3日 沖縄報告会 繁山
 9月1日 講演会 水島朝穂 石原「防災」軍事演習
 10月12日 学習会 石原批判  繁山 19人
 11月28日 講演会 教科書問題 俵義文 38人
 ◎参加者数  368人  97年と同水準で最多
 オ)報告集・通信・資料集
  ・報告集18 渡辺・山田 報告集19 小林・田畑 報告集20 樋口 報告集21 高橋・竹見
  ・通信19号〜22号
  ・資料集28〜31         以上を発行
[3] 1月講演会
 日時  1月30日 講演会「「奉仕活動義務化」を問う」 楠原彰
[4] 2月以降の企画
 PKO法改悪批判、次期防批判、ナショナリズム批判、他
[5] 宣伝活動の改善
 ・HPの改善に関して ・MLに情報を流す ・リーフレット作り(先送り)
[6]PEACEBERRY JAM 23号 (略)
[7]報告集づくり
[8]今後の作業
[9]次回例会・事務局会議
[10]会計  
   報告集、資料集の代金支払/01年分会費支払いを

     ◆ 研究会会計報告    (00.12.21)
    2000年会計 (00.1.1〜00.12.20)

収入 支出
印刷費紙代  228044
会費・カンパ  143960 講演会費    61857
パンフ等売上 164390 通信費    257085
会場収入    224900 会場代     40800
雑収入       1386 事務経費    62923
合 計    534636 合 計 650709

繰越 −5684+534636−650709
                 = −121757


ミサイル防衛(NMD・TMD)の狙いはアメリカの先制攻撃体制づくり
加担際立つ日本政府

 11月24日、東京・文京区民センターで「宇宙の兵器と核に反対するグローバルネットワーク」代表のブルース・ギャグノンさんの緊急来日講演会「ミサイル防衛構想(NMD・TMD)とは何か?〜アメリカ民衆は求めない〜」が行われました。主催は核廃絶紅天狗、派兵チェック編集委員会、ピース・チェーン・リアクション、国連・憲法問題研究会が呼びかける「ストップ核とミサイル防衛キャンペーン」。30人が参加しました。
 ロシアや中国、ヨーロッパ諸国などが軒並みNMD(全米ミサイル防衛)に「反対」する中、日本政府は「理解」するという際立った態度を示しています。また、TMD(戦域ミサイル防衛)についても日米共同技術研究が続いており、十月に発表されたアーミテージ、ジョセフ・ナイら超党派メンバーによる対日政策提言においても「日米防衛産業の技術協力と弾道ミサイル防衛の日米協力拡大」が要求されています。 (杉)

ギャグノンさん講演
宇宙支配で世界支配

 現在は宇宙への軍拡競争が拡大するかどうかの歴史的時期だ。コロラドの米宇宙司令部本部には、ヒトラーのスローガンに似た「宇宙の主人」という言葉が書かれている。アメリカは、宇宙における優位性こそ将来の戦場での決定的要因と見ており、宇宙を支配する者が世界を支配すると考えている。衛星を通じて管理を行い、世界中にそれを受ける基地・施設を配置しており、日本では三沢基地が米宇宙司令部に参加している。
 私たちは世界中に散らばる基地を抱えるコミュニティーを回り、建設を止めることを活動の柱にしている。NMD・TMDのために施設の機能強化が必要になっており、例えばイギリスの友人たちはそれをさせないようイギリス政府に働きかけている。

TMD市場狙う日本の「死の商人」

 NMDはアラスカなど三つの地域に百基ずつ、計三百基のミサイルで「敵」のミサイルから防衛しようとする計画だ。今まで三回の実験は全て失敗したが、あと十六回も実験をやろうとしている。来年一月が四回目で、一回に一億ドルかかる。毎回大きなデモをして何人もの逮捕者を出した。
 TMDは地上・海・空という三つのレベルがあり、それぞれ陸・海・空軍が責任を持っている。海の場合はTMDを担うイージス攻撃艦が日本にも寄港。日本から、三菱重工、川崎重工、石川島播磨、日産自動車、富士通、東芝の六つの企業が参加している。

新たな「仮想敵」中国

 アメリカは今まで「ならず者国家」、とりわけ北朝鮮を仮想敵国としてきたが、ミサイル計画延期や南北統一への動きにより、敵国と見なせなくなっている。ロシアは既にグローバル化で管理下にあるため、ペンタゴンは中国を「新しい敵」と考えだしており、アジアが前線になりつつある。
 そのため、TMDを日本をはじめ韓国、台湾、オーストラリアに広げようとしている。コーエン国防長官は中国訪問後にオーストラリアを訪れ、「私たちは台湾問題で対中戦争になった時、オーストラリアの助けがいる」と公の場で中国との戦争について語った。

「空飛ぶ原子炉」の恐怖

 他国の衛星や地上基地のレーダーを攻撃するために、今後二十から三十個のレーザー発信機が地球を回っている状態にしようとしている。その電源には原子炉が必要とされている。もし地上にそれが落ちてきたら、摩擦で燃え尽きプルトニウムが全地球にばらまかれることになる。NMD、TMDと共に宇宙からのレーザー発信機(SBL)にも反対すべきだ。
 次期大統領について言えば、ゴアはABM条約(対弾道ミサイルシステム制限条約)を維持しつつ、ロシアと交渉してミサイル防衛システムを作るという立場だ。ブッシュはロシアなどお構いなしでABM条約を侵してでも進めるとしており、レーザー発信機計画も加速と表明している。私が投票したネーダーは、全ての計画に反対している。

軍事拡大でなく福祉充実を

 宇宙産業は「社会福祉に優先して軍事予算をつけるべき」と主張している。そうした軍需産業は選挙資金を多く出しており強い影響力を持っている。アメリカの輸出のトップは兵器であり、アメリカの戦略は世界の不安定化だ。駐在武官の任務はその国と米兵器産業との間を取り持つことだ。
 日本政府はアメリカの出先機関になっている。それにより、日本の自決や民主主義が失われている。日本政府は恒久的財政赤字の中でもTMDに数十億ドル拠出できる財源を見つけるだろう。福祉予算が犠牲にされることになる。軍事と福祉の両立は不可能と強く主張すべきだ。
 TMDもNMDも全く「防衛」とは関係ない。それはアメリカが常に先制攻撃を仕掛けられる体制をつくるための長い道のりの一つだ。ミサイル防衛はまるで〈新しい天国〉へのピラミッドだ。軍需産業は現代のファラオで、人々は奴隷だ。

ミサイル防衛に異議あり 米大使館前で「宣誓式」

 米ブッシュ大統領就任式で「宣誓」が行われた一月二十日、アメリカ大使館前でもう一つの宣誓式が挙行された。「宇宙の兵器と核に反対するグローバルネットワーク」が呼びかけ世界同時行動の一環で、昨秋いらい取り組みを続けてきた「ストップ核とミサイル防衛キャンペーン」による対抗パフォーマンスだ。市民から要請書を受け取ったスーツ姿にブッシュお面をつけた「大統領」が、厳粛に宣誓書を読み上げた。
 その項目は、。裡唯帖柄簡謄潺汽ぅ詼姫辧坊弉茲梁┿中止日本をはじめとする同盟国とのTMD(戦域ミサイル防衛)の共同開発の中止NPT(核不拡散条約)再検討2000年会議での「核廃絶の明確な約束」の実行、の三点。宣誓書は「大統領」からアメリカ大使館職員に手渡された。
 ブッシュ新政権がミサイル防衛推進を鮮明にするなか、「キャンペーン」はいったん区切りをつけた上で、よびかけ団体・個人を募り、二月二八日午後六時半より文京シビックセンターで相談会を開き取り組みを模索していくことにしている。


研究会講演会に参加して

 今まで憲法といえば、護憲の立場で考えていた。それ自体は別に悪い事ではない。しかし、もう少し真剣に憲法の事を勉強する必要を感じたので古関彰一さんの講演会に参加した。少々恥ずかしいのだが、押しつけ論がメジャーであることを知らなかったので、試しに自分の父親に今の憲法をどう思うか聞いてみた。すると見事に「あれはGHQが押しつけたんだ」と鼻息荒く言われてしまい、本当にそうなんだと実感している。
 とにかく、客観的に憲法の歴史を知らなければ、私の父親のような人に説得力を持てないだろう。私が不思議でしょうがないのは、父親が日本の加害行為を認めない事、そして戦争は二度と起こらないと信じていることだ。戦争は起こらないと思っていても「改憲」には無関心なのだ。一応若い世代といわれる自分でさえも、「改憲」に危機感を持っているとゆうのに。そして戦争という言葉を使う違和感。戦争ではなく侵略と言いかえるべきだろう。
 普段の生活の憲法の話題が出てくることなど、ないに等しい。まわりの人達の関心のなさに慣れてしまわないよう、しっかり憲法調査会なるものを監視していこうと思う。  (A・M)
【古関彰一さん(獨協大教授、憲法史)講演会(昨年6月2日)の感想として寄せられたものですが、手違いで講演報告22集に掲載できなかったので、ここに掲載します。】


2000年11月〜2001年2月
研究会のこの間の活動
11月24日 宇宙軍拡反対講演会 文京区民センター
11月28日 研究会講演会 「自由主義史観」教科書を斬る 俵義文 文京区民センター
12月7日 研究会事務局 ピースベリージャム22号発送作業
12月21日 研究会2000年総会&忘年会
12月23日 国立「日の丸」処分反対全国集会 於・小金井
(下写真=「赤色教師追放」を叫んで集会妨害を図った右翼「日本青年社」のデモ)
1月17日 研究会事務局
1月20日 宇宙軍拡反対 米大使館行動
1月30日 研究会講演会 「奉仕活動義務化」を問う 楠原彰 文京区民センター 【下写真】
2月9日 研究会事務局 ピースベリージャム23号発送作業(予定)
2月10〜11日 非核平和条例全国集会inヨコスカ
2月11日 反「紀元節」集会
2月14日 研究会2月例会
2月26日 研究会講演会 「次期防」で゙自衛隊はどう変わるか
木元茂夫 文京シビックセンター


日野市成人式で、市民がビラまき〜〜”君が代”にどう向き合うかは、一人一人の生き方に関わる問題〜〜

投稿  永野敦男(ライター)

東京都日野市は、保守系市長が、1999年8月の”国旗国歌法”成立を理由に、市主催の行事(敬老会・市勤続職員表彰)で、”君が代”を強行。 2001年1月8日、市と市教委主催の成人式にも、2000年に続き、2度目の”君が代”斉唱を入れた。 
 これに対し、市民運動の人たちが事前に、小澤春童・市総務部長、清水国夫・市教委生涯学習部長に、”君が代”は、斉唱はもちろん、流すこともやめろ、と申し入れた上、式当日、市民5人が式場入口外で、新成人に以下のビラ(B5両面)を、「今日の主人公は新成人の皆さんであり、天皇や政治家ではありません」「森喜朗首相は、1999年11月の『天皇在位十年式典』で安室奈美恵さんが”君が代”を歌うかどうか、口元を監視していました。国家権力に、口元とその背後の内心を監視されるのは、イヤです」などと訴えながら配布した。
 新成人の中には、ビラを見て、「えっ、安室ちゃんの口元を・・・・」と驚き、ビラに見入る男女がいた反面、「共産党!」と吐き捨て、式場に入って行く金髪男性も。 式場内で監視して頂いた市民派議員によると、市民の申し入れや市民派議員の議会質問のささやかな成果があってか、司会者が”君が代”斉唱前、「よろしければご起立下さい」という言い方をしたこともあり、約3分の2が着席していたように見えた、とのことである。
 しかし、この着席者の多くは、”君が代”斉唱に賛成でも反対でもなく、お喋りや携帯電話に夢中になっていた”無関心派”がほとんど。 ビラまきした市民の一人は、「来年は、市長に『反対』と言ったり、斉唱時の1分弱は、着席に留まらず自分の意志で退席するような新成人が増えるよう、”無関心派”の人たちに”君が代”そのものの違憲性と、強制する市長・市教委の意図とを、訴えて行きたい。特に最近、田中伸尚さんから聞いた『”君が代”斉唱に従うか、否かは、国家との距離を置いたり突き放したりするか、従順に同化されてしまうか、一人一人の生き方に関わる問題』という視点で話してみる。また、私は共産党でないのに、反対している人には『共産党!』と吐き捨てるような、画一的思考の青少年を作り出す、文部省・都教育庁・日野市教委の”君が代”教育を、多くの市民が監視・抗議し、止めさせなければ」と語った。
※以下がビラ(抜粋)です。

成人式、おめでとうございます。新成人が主人公の日野市成人式に、”君が代”(特定の人=天皇を崇める歌)は、要りません。
以下、私たち「”君が代”強制に反対する市民の会」<連絡先・FAX(03)5367−5667>の見解をお読み頂き、「”君が代”強制に反対」と、市役所代表電話(042)585−1111の馬場弘融・市長、又は清水国夫・市教委生涯学習部長に、あなたの声を寄せて頂ければ幸いです。       2000年1月8日

☆司会者(市の役人)が”国歌斉唱”と叫んでも、拒否する自由がある
 日本国憲法第11条・12条・97条は、12条後段の「他人の人権を傷付ける場合等」を除き、私たち市民一人一人の「基本的人権の尊重」を保障しています。 この人権条項に当たる、憲法第13条(「個人の尊重、自由権」を保障)、第19条(「思想、良心の自由」を保障)、第21条(「表現の自由」を保障)を、馬場弘融・市長や清水国夫・市教委生涯学習部長は、第99条(「公務員の憲法尊重擁護義務」を規定)に則り(遵守し)、行政を行わなければならず、成人式で、市民(新成人)に特定の歌を強制することは、違法です。 しかも、”君が代”歌の内容は、天皇(=君)の治世・時代(=代)が永遠に(=千代に八千代に)続いて下さいという、特定の人物を讃え、崇(あが)める思想(=”偉い人””偉くない人”という差別を助長するイデオロギー)を持っており、憲法第14条(法の下の平等を規定。【注1】参照)にも違反します。
従って、新成人の皆さんには、馬場市長や清水部長の押し付ける”君が代”斉唱を、拒否する自由があります。 具体的には、歌わない自由はもちろんのこと、イヤな歌を聞かされない自由のため、「今日の主人公は私たち新成人であり、天皇を崇める歌は要りません」「”君が代”に反対です」と発言する自由もあるし、”君が代斉唱”と称する時間(約1分弱)、式場外に退席したり、着席したりする自由もあります。
【注1】日本国憲法下の天皇は、戦前・戦中の”元首”ではなく、市民(「国民」という表現は在日外国人への配慮に欠けるので、私たちは、「市民」という語を使います)主権の下での”象徴”に過ぎません。

☆保守行政は、”君が代”強制で、”国のために死ねる人作り”を謀む
 戦前・戦中、文部省著作・発行の『初等科修身二・国定教科書』の指導書は、「君が代を唱和するときには、心から天皇陛下の御ために身命をなげうち、皇室のみ栄えを祈り奉らずにはゐられないのである」と明記していました。  1943年9月17日に文部省と当時の内務省とが出した「学校防空指針」に至っては、空襲時の避難優先順位は、「(天皇・皇后の)御真影、教育勅語謄本、詔書謄本」が第1であり、「学生生徒及ビ児童ノ保護」は2番目。 文部省は ”君が代”を通し、「一人一人の基本的人権」より「天皇を中心とする国家体制」の方を優先させる”教育”、即ち教育勅語(【注2】参照)の「一旦緩急アレバ義勇公ニ奉ジ」=戦時等、有事時、国・天皇のために死ねる”人”作りをしてしまいました。 戦前・戦中、アジアの人たちを侵略・虐殺したり、”竹槍”で突撃したりした日本人が多出したのは、主体的判断力を奪い、国家権力(政府)の言う通り動くよう教え込んだ”君が代教育”のためです。
 今、平和憲法下で・・・・?、と思う人も多いでしょう。 でも、解釈改憲を続ける日本政府は1999年5月、米国の関わる戦争に、自衛隊員はもとより自治体職員や一般市民も協力させるとする周辺事態法を強行成立させています(【注3】参照)。 政府が周辺事態法で、自治体職員や一般市民(特に、輸送や医療関係に就職する人、注意して)に求める”協力”は、「武器・弾薬や米兵の輸送」等、紛争に巻き込まれる危険の高いものもあります。 また、もし不幸にも米国の関わる戦争に日本政府が自衛隊等、協力させ、日本が戦争に巻き込まれた際、自衛隊員が私たち市民に色々命令したり、私たち市民の人権・権利を制限(弾圧)したり等、”軍”の権限を強化できるようにする有事立法策定を、2001年1月4日、斉藤斗志二・防衛庁長官が主張し、文相も務めた三原朝雄・防衛庁長官(当時)は、1977年、雑誌『国防』で「有事のことを考えると、平素から教育の場で国旗・国歌を教えることが必要」と述べています。 ”君が代”強制が、”国のために死ねる人作り”(天皇はその”精神的支柱”に)につながる危険性は、現代もあるのです。 私たち市民が主体的に判断し、行政の”君が代斉唱”強制を拒否する自由が保障されなければならないゆえんです。
【注2】戦後、1947年、憲法の精神に則り「真理と平和を希求する人間の育成を期する」と明記した教育基本法が出来、危険な国家主義思想の教育勅語は、1948年6月19日、衆参両院で失効確認決議。 しかし森喜朗首相の私的諮問機関・教育改革国民会議は、2000年12月22日出した『最終報告・教育を変える十七の提案』で、「日本人としての自覚、アイデンティティーを。国家の視点が必要である」と、教育基本法改悪を主張。 文部省は、前記・憲法第99条(公務員の憲法尊重擁護義務)に挑戦するかのごとく、「憲法の精神に則り」と明記した教育基本法を改悪するための、プロジェクトチーム(座長=小野元之・事務次官)を省内に設け(2000年11月29日のNHK『おはよう日本』)、密室協議を進めている。
【注3】馬場市長らは昨年からの成人式への”君が代斉唱”導入の理由に、1999年8月の”国旗国歌法”(国会で、民主党などは賛否が真っ二つに分かれた)を挙げていますが、これは前記・周辺事態法等、戦争協力法や盗聴法(人権侵害につながる危険性が指摘された)とセットで政府が出したもの=キナ臭い。
※裏面に続きます。
※表面の続きです。
☆”君が代”強制する保守系政治家〜安室奈美恵さんの口元をチェックする森喜朗氏〜
 森喜朗首相(64歳)は、自民党幹事長だった2000年3月20日、石川県加賀市で「昨年(1999年)11月の『天皇陛下在位十年をお祝いする国民祭典』で君が代斉唱時、沖縄出身の歌手の一人は口を開かなかった。恐らく君が代は知っているとは思うが、学校で教わっていないのですね。沖縄県の教職員組合は、何でも政府に反対、何でも国に反対する。沖縄の二つの新聞、琉球新報・沖縄タイムスもそうだ。子どももみんなそう教わっている」と講演し、”君が代”を歌うかどうか、安室奈美恵さんの口元を監視していたことを明言しました。 変なオジサンに口元とその背後の内心を監視されるのは、イヤですね。
梶原拓・岐阜県知事は、1999年9月30日の県議会本会議で、「国旗・国歌を尊敬しない人は、日本国籍を返上して頂きたい」と放言し、沖田範彦・広島県安浦町長は、2000年3月の町立中学校の卒業式後、「国旗掲揚と国歌斉唱を守る義務がある」という手紙を全生徒自宅に郵送してしまいました(2000年4月8日付『朝日新聞』大阪本社版)。
自民党神奈川県連は47名の同党県議全員が、県立高校1校ずつを受け持ち、卒業式での”日の丸掲揚・君が代斉唱”の実施状況を、視察すると称し、チェック(2000年2月25日付『毎日新聞』)。

☆「特別活動」の領域(学校行事など)には法的拘束力なし。でも、日野では・・・・ 学校教育法第20・38・43・73条は、小・中・高・心障校の教育課程の領域中、文部大臣の権限の及ぶのは、「教科」の領域のみと記しており、「特別活動」の領域(入学・卒業式等学校行事など)には学習指導要領の法的拘束力はない(これは前記・戦前・戦中の学校の儀式的行事で、”君が代””教育勅語””御真影”で、子どもたちに国家主義思想を注入し、戦争に駆り立てた反省からと思われる)。 しかし文部省は、この学校教育法の「教科」を「特別活動」の領域も含むかのように拡大解釈し、省令(国会審議を経ず役人だけで決める)に過ぎない”学校教育法施行規則”第25条で、「小学校の教育課程については、・・・・学習指導要領によるものとする」と勝手に規定(中学校は第54条の2、高校は第57条の2に同じ条文)。 これを金科玉条に、文部省は”「特別活動」も法的拘束力あり”と主張し、学習指導要領の「特別活動」の項に”日の丸・君が代”を強制する記述をしている。 が、文部省寄りと言われた故・相良惟一・元聖心女子大学長さえ、「文部省の拡大解釈は三百代言」と批判。 でも、前記”国旗国歌法”以降、文部省の圧力もあり、各地の教育委員会が組織・制度を悪用した”日の丸・君が代”強制を続けています(校長に地方公務員法の職務命令を出させる等。山口寮弐・高松市教育長は1999年9月16日の市議会で「教師・生徒は歌わない自由はない」と放言)。
私たちの日野市では、市立南平小学校の1999年4月の入学式で、”君が代”はピアノ伴奏しかない、という固定観念に固執した、当時の畑石重輝校長が、ある教員に”君が代”の伴奏をしろと”職務命令”を出し(地方公務員法第32条の濫用)、教員が「思想、良心、表現の自由」を保障した憲法に則り、拒否したところ、畑石氏は市教委に”報告書”を提出=チクリ。 都教育庁・都教育委員会が同年6月21日付で教員を”戒告処分”にしていたことが、同年7月21日、判明しました。 この時まで都教育庁が”日の丸・君が代”問題で出した”処分”は、旗のロープや竿頭に触れたか等、”物理的行為”が境目になっていました。 入学式で畑石氏は、テープにより”君が代”を実施しており、彼の”目的”は、”十分”達成している。 一人の教員の伴奏拒否という意思表示だけでの”処分”は初めてで、”処分”の範囲を広げたのは、極めて不当。

☆近隣の町でも、教育委員会による”君が代”思想の押し付けが・・・・
 八王子市立中学校の学年最終授業で、ある教員が「自分で考えることの大切さ」「オウム真理教の被告の裁判供述『マインドコントロールされた命令・服従の関係』のような、指示を待つだけの人間にならないで」と伝える際、一例として”日の丸・君が代”問題に触れただけで、 八王子市教委は、1999年8月30日、この教員を文書”訓告”。 校長は”処分”後、”参観”と称し、一時、この教員の授業を監視。
 このことに関し、和田信行・同市教委学校教育部付参事(都教育庁から出向)は、「”日の丸・君が代”について『考えましょう』と生徒に呼び掛けるのは学習指導要領に異を唱えることで、受け入れられない」と明言(同年11月21日付『朝日新聞』)。 教育行政(権力側)が”許す思想、許さない思想”の選別を行っている恐ろしい実態が明らかになっています。
 また、これまでずっと、子ども主体の入学・卒業式を続けて来ている、国立市立小中学校では、2000年3月の卒業式で、校長が校舎屋上に”日の丸”掲揚を強行したある小学校で、式終了後、数人の児童たちが校長に掲揚強行の理由を問い、「僕たちの卒業式なんだから、僕たちに相談しないでやるのはおかしい。児童会の声も聞いて」「憲法の民主主義・基本的人権に違反する」「”日の丸”旗の下、戦争で多くの人が死んだりしている」等、率直に、社会科の授業や新聞・図書、家庭教育等でごく自然に学べることを発言しただけの話し合いを、『産経新聞』が歪曲報道し、保守系議員等の圧力が高まったのを利用し、同年8月10日、都教育庁・都教育委員会は「日の丸・君が代の押し付け反対の意思表示のピースリボンを着用した、地公法第35条の職務専念義務違反」等の理由を付け、教員を”戒告処分”(発令は11日)しました。 リボン着用での”処分”は戦前の思想統制と同じ。  ”処分”された教員は、式開始前、掲揚強行の理由を子どもに質問されたので、事実を説明しただけなのに、都教育庁は”処分”理由に「卒業生に校長の職務権限について誤解を生じさせる発言をしたことにより、一部の卒業生が、校長に不適切な発言をする事態さえ生じている」と明記、児童の意見表明をも「不適切」と一方的に決め付けています。